DJIの最新製品「DJI Dock 3」の発売に伴い、本記事では「DJI FlightHub 2」について詳しく解説します!FlightHub 2は、ドローン運用を効率化するクラウドベースの管理プラットフォームであり、DJI Dockや産業用ドローンとの連携により、遠隔地からのドローン運用やリアルタイムでの情報共有が可能になります。
本記事では、FlightHub 2の基本機能や活用方法、最新アップデート情報などを詳しく紹介していきます。また、新たな機能追加や運用方法についても随時更新していく予定です。DJI Dock 3とFlightHub 2を最大限に活用するための参考として、ぜひチェックしてください!
※本記事の内容は作成時点の情報に基づいています。最新の仕様や情報は変更される可能性があります。
目次
FlightHub 2 とは
産業用ドローンの飛行計画や管理をクラウド上で行えるプラットフォームです。組織のメンバーやデバイスの管理、地図や写真の確認、飛行ルートの設定、タスクの計画・管理などの機能を備えています。ウェブ上で飛行ルートを作成し、DJI Dockや対応するドローンに指示を送ることで、遠隔地からリアルタイムでタスクの状況を確認できます。これにより、チームの作業効率と生産性を向上させることができます。
■FlightHub 2でできること
FlightHub 2 は、DJI の産業用ドローンをより効率的に、そして安全に運用するためのクラウドプラットフォームです。その多岐にわたる機能の中から、本日は特に重要な 6 つの機能について、わかりやすく解説します。
1. 組織・メンバー管理:柔軟な権限設定で安全な運用を実現
FlightHub 2 では、会社のように組織を階層構造で管理し、組織に属するメンバーごとに詳細な権限設定が可能です。これにより、組織の規模や運用形態に合わせて柔軟な管理体制を構築できます。
- 組織構造のカスタマイズ: 部署、プロジェクト、地域など、組織の構造に合わせて柔軟に組織を構築できます。
- 詳細な権限設定: 管理者(Super Admin)、技術者(Device Maintainer)、閲覧者(Member)など、役割に応じた詳細な権限設定が可能です。機体制御、データアクセス、設定変更など、操作ごとに権限を付与/制限が可能です。
- 依頼者様との連携: 依頼者様とのデモフライト時も、適切な権限設定によりセキュリティを確保できます。
例えば、修理担当者には機体状況の確認権限のみを付与し、遠隔誤操作による事故を防ぐといった運用が可能です。
2. プロジェクト管理:現場情報を一元管理し、業務効率を向上
現場ごとにプロジェクトを作成し、機体、メンバー、飛行ルート、撮影データなどを一元管理できます。これにより、複数の現場を効率的に管理し、情報共有をスムーズに行うことができます。
- プロジェクト単位での情報集約: 飛行計画、機体情報、飛行データ、メンバー情報など、プロジェクトに関連する情報を一元管理できます。
- コラボレーションの強化: プロジェクトごとにメンバーを割り当て、チームでの作業を円滑化できます。
- 飛行計画の高度化: プロジェクトごとに飛行ルート、飛行高度、撮影間隔などを設定し、詳細な飛行計画を作成できます。
3. Dock製品を使用したドローン遠隔運用:場所を選ばないドローン運用で業務を効率化
DJI Dock/Dock 2/Dock 3と連携することで、遠隔地からのドローン飛行・制御が可能になります。これにより、場所を選ばないドローン運用が実現し、点検や監視などの業務効率を大幅に向上させます。
- DJI Dockシリーズとの連携強化: DJI Dock/Dock 2/Dock 3 と連携し、遠隔地からのドローン制御および操縦、映像確認、データ収集が可能です。カメラの操縦権のみ奪うといった詳細設定も可能です。
- 高度な飛行ルートの作成: 2.5次元マップ上での飛行ルート作成に対応しているため、DJI Pilot 2に比べてより直感的に複雑なルート作成が可能で、ルートのインポート/エクスポートにも対応しています。
- 遠隔デバイスメンテナンス:機体ログやエラーログをクラウド上で確認でき、Dockカバー開閉やテストフライトも遠隔で実行可能です。
4. 産業用ドローンの映像共有:リアルタイムな状況把握で迅速な意思決定を支援
Matrice 350 RTK などの産業用ドローンと連携し、飛行中の映像をリアルタイムで共有できます。これにより、現場の状況をリアルタイムに把握し、迅速な意思決定を支援します。
- 多様なデバイスでの映像確認: PC、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスからドローンの映像を確認できます。
- 映像共有のセキュリティ強化: 映像共有用の QR コード/リンクに有効期限、パスワードなどを設定できます。
5. 撮影データのリアルタイムアップロード:データ共有と解析の効率化を促進
撮影した画像・動画データをクラウドにリアルタイムでアップロードできます。これにより、現場からオフィスへのデータ共有がスムーズになり、解析作業を効率化できます。
- データの一元管理と共有: 画像、動画、3D モデル、点群データなど、多様なデータを一元管理できます。
- データセキュリティの強化: データを暗号化し、第三者による不正アクセス、改ざんを防止します。
- データ活用の高度化: データを解析し、異常検知、状況分析、意思決定などに活用できます。
6. クラウドマッピング:3D モデルとオルソ画像の作成で業務を高度化
アップロードした撮影データから、3D モデルやオルソ画像を生成できます。DJI Terra ほどの詳細な設定はできませんが、現場の状況を素早く 3D モデル化し、点検や測量などの業務に活用できます。
- 多様なデータ形式に対応: Dock製品によるデータのみならず、産業用ドローンのデータであれば基本的に2Dオルソや3Dモデルの作成が可能です。DJI Terraのエンジンと同じものが使われていて尚且つクラウド上で解析するため、PCのスペックもそこまで必要ありません。
- 高度な 3D モデル/2Dオルソ生成: Terraと同等の高精度な 3D モデル/2Dオルソを生成し、点検、測量、設計などに活用できます。
- クラウドストレージ: 生成したモデルや写真データは全てクラウドストレージ上に保存されるため、PC内のストレージの圧迫の心配もありません。
■FlightHub 2の対応機種について
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サポート機種
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ドローン | DOCK | ペイロード | ||
機能
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FlightHub 2の組織への紐づけ |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30 シリーズ
(M30/M30T/M30T Dock version)
・Matrice 300/350 RTKシリーズ
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
・DJI Dock
・DJI Dock 2
・DJI Dock 3
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ー |
機体メンテナンス (※Dockシリーズのみ) |
・Matrice 30T DOCK version
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
・DJI Dock
・DJI Dock 2
・DJI Dock 3
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ー | |
リアルタイムモニタリング |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30 シリーズ
(M30/M30T/M30T Dock version)
・Matrice 300/350 RTKシリーズ
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
・DJI Dock
・DJI Dock 2
・DJI Dock 3
|
・Zenmuse H20 シリーズ(H20/H20T/H20N)
・Zenmuse H30 シリーズ(H30/H30T) ・Zenmuse P1、 Zenmuse L1/L2は非対応
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|
ペイロード操作 (カメラ操作/切替) |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30T DOCK version
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
ー | ー | |
機体操作 (操縦/離発着) |
・Matrice 30T DOCK version
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
(※送信機DJI RC Plus 2からの権限が必要)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
ー | ー | |
飛行ルート作成 |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30 シリーズ
(M30/M30T/M30T Dock version)
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
ー | ー | |
飛行計画作成 |
・Matrice 30T DOCK version
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
・DJI Dock
・DJI Dock 2
・DJI Dock 3
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ー | |
メディアファイル管理 |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30 シリーズ
(M30/M30T/M30T Dock version)
・Matrice 300/350 RTKシリーズ
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
ー |
・Zenmuse H20 シリーズ(H20/H20T/H20N)
・Zenmuse H30 シリーズ(H30/H30T) ・Zenmuse P1、 Zenmuse L1/L2は非対応
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クラウドマッピング |
・Mavic 3 Enterprise シリーズ
(M3E/M3T)
・Matrice 30 シリーズ
(M30/M30T/M30T Dock version)
・Matrice 300/350 RTKシリーズ
・Matrice 3D シリーズ
(M3D/M3TD)
・Matrice 4 シリーズ
(M4E/M4T)
・Matrice 4D シリーズ
(M4D/M4TD)
|
ー |
・Zenmuse H20 シリーズ(H20/H20T/H20N)
・Zenmuse H30 シリーズ(H30/H30T) ・Zenmuse P1、 Zenmuse L1/L2は非対応
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■FlightHub 2のライセンスについて
FlightHub 2のライセンスは大きく分けて無料版とプロ版の2つです。無料版でも全機能を利用することは可能ですが、ライブ配信時間・ストレージ・マッピング画像に関しては、初めてデバイスを組織に紐づけた際にもらえるボーナス(後述)を受け取らないと、ほぼ利用できません。
・ライセンス表
機能 | 標準版(無料) | プロフェッショナル版 |
---|---|---|
組織管理 |
✔ | ✔ |
メンバー管理 |
✔ | ✔ |
デバイス管理 |
✔ | ✔ |
機器数量 |
ー | ✔ |
プロジェクトの件数 |
5 組織内で最大 5 件のプロジェクトを作成できます。この制限を超える新規プロジェクトは作成できません。 |
無制限 |
ロゴの置換 |
ー |
✔ FlightHub2プラットフォームのロゴは変更が可能です。 |
カスタムログインページ | ー | ー |
ライブ配信 |
ー |
2000分/月 ライブ配信時間は、視聴者の合計視聴時間に基づいて計算されます。未使用のライブ配信時間は翌月まで繰り越されます。 |
マップにメディアをロード |
✔ | ✔ |
ストレージ容量 |
500GB 有効期間内であれば、500GBのクラウドストレージを利用できます。ストレージがいっぱいの場合でもファイルをダウンロードすることはできますが、追加のファイルをアップロードすることはできません。 |
|
アノテーションと同期マップ |
✔ | ✔ |
デバイスの場所を共有 |
✔ | ✔ |
マッピング画像数 |
3000画素/月 未使用のマッピング画像数は翌月まで繰り越されます。最大画像数は、リアルタイムマッピングの画像数と、メディアファイルをベースにしたマッピングの画像数を合計したものになります。 |
|
画面モデル |
1 2Dモデルと3Dモデルが含まれます。 プロジェクト内で、1度にマップに重ねられるモデルは1つだけです。 |
無制限 |
2.5Dマップ |
✔ | ✔ |
飛行経路計画 |
✔ | ✔ |
・デバイス紐づけた時のボーナスについて
初めて組織にデバイス(Dock製品または機体)を紐づけた際、100GBのストレージ・5000分のライブ配信時間・3000枚のマッピング画像が無料でもらえます。無料割り当ての有効期限は3か月です。
ただ、デバイスをFlightHub 2に紐づけした後に、受け取りの操作をする必要がございます。
TOPページ>My Organization>該当Projectにて「Organization Settings」を押下>「Organization Package Information」の横に表示されている「receive」を押下することでボーナスを受け取ることができます。
以上から、FlightHub 2はDJI産業機を持っている方なら誰でも無料でその全機能を使うことができるので、ご興味ある方は今すぐ組織を作って参りましょう!
次項はFlightHub 2の具体的な導入方法を紹介していきます。ここまで読んでくださった方はこれを機に、DJIドローンを1つのプラットフォームで一元管理してみませんか?
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