今回は実際の外壁点検現場にSYSTEM5の担当者がお伺いしまして、外壁調査のプロにも機材を触っていただき、1億画素以上で撮影ができる高解像度カメラで点検を行ってみたら、どれくらい作業効率化に繋げれるかを検証してまいりました。
目次
今回の現場について
星槎国際高等学校にある築40年程の星槎高尾ホールの外壁と別校舎の外壁を撮影させていただきました。
Phase Oneの可視光カメラ「iXM-100」「iXM-GS120」を使って外壁を見て性能や撮影した写真の比較を行っていきます。
Phase Oneについて
通常のカメラよりセンサーの大きいラージフォーマットカメラのリーディングカンパニーで、
世界最高の高解像度カメラを製造しています。
デンマークに本社があり、日本でカメラの製造を行っています。
広告写真の撮影やプロフォトグラファーが使う、ハイエンドカメラの製造販売からスタートしたカメラメーカーです。
1眼レフカメラから航空撮影用、マシンビジョン向けカメラ、
ドローン搭載用カメラなどの多種多様な製品を世の中に提供し続けています。
「iXM-100」のスペックの紹介
商品ページはこちら:https://www.system5.jp/collections/phase-one/products/n_1186220
※iXM-100をDJI Matrice 300/350 RTKでお使いの際は、上記のカメラジンバルキットの他に、専用レンズとCFexpressカード・リーダーを別でご購入していただく必要がございます。
※サポートパッケージはプラチナ・ゴールド・シルバーの3種類あります。
「iXM-100」は2024年4月に国土交通省が発表した点検支援技術性能カタログに掲載されました。(技術番号:BR010068-V0024)
特徴としては
・1億画素の超高解像度:0.1㎜のクラックを広範囲の画像データで取得
1㎜/pxを視力1.0の人が2.5mで見る分解能と定義すると、「iXM-100」では150㎜レンズで約40m、80㎜レンズで約20mの距離で視認可能となります。1枚の撮影範囲は約12m✕8mです。
・DJIドローンとの親和性:DJI Matrice 300/350 RTKに最適化
距離計からの距離、カメラの向き、ライブ画像の確認、カメラ機能の全てをプロポ上からコントロール可能です。自動またはマニュアル撮影にも対応しており、GPSデータを撮影データに自動埋め込みします。
※送信機画面上(DJI Pilot2上)での映像
・85㏈のダイナミックレンジ:非常に暗い所、晴天下の逆光下で威力発揮
Phase One専用の現像・編集ソフトウェア「Capture One for Phase One」で暗部を持ち上げ、鮮明な画像に補正し解析ができます。
・撮影時間の短縮:広範囲撮影での写真測量も可能
以下の表は4200万画素のカメラと比較したものになります。「iXM-100」を使用して写真測量を行うと飛行時間と撮影枚数が大幅に少なくなります。
「iXM-100」のセッティングについて
Phase One製品のカメラを使用する際にはDJI Matrice 300/350 RTKのジンバルコネクタを、付属の専用ダンピングプレートに付け替える必要があります。
ジンバルに別売のカメラを取り付けたらバランスの確認を行います。レンズの交換を行った際は前後のバランスを特に確認してください。バランスが良い状態とは機体の電源を付けないでカメラを真正面や真下、真横に倒したときに静止できる状態です。
データの保存はSDカードではなく、別売のCFexpressカードを使用します。CFexpressカードはホットスワップに非対応のため、抜き差しする際は機体の電源を切ってから行ってください。
Phase One製品はDJI Pilot2に対応しているため、追加でアプリなどをプロポに入れる必要はありません。そのまま使えます。
※機体を起動してからプロポ上に認識されるまでにおよそ1分かかります。認識されると写真のように画面上に表示されます。
ビューワーにはシミュレーションモード(現在の明るさで表示)とビューファインダーモード(明るさを上げて表示)の2種類あります。こちらはPC上の「Capture One for Phase One」を使って変更可能となります。
プロポの録画ボタンを1回押すと、フォーカスの合っている箇所を緑色に表示することができます。こちらを使うことで飛行中に素早くフォーカスの確認を行うことができます。
〇オリジナル送信機画像
〇フォーカスが合っている所を緑色にした状態
オートキャプチャーモードを使うことでそれぞれの設定に合わせて自動でシャッターを切ってくれる撮影を行うことができます。※設定完了後、一度シャッターを押すことで撮影モードが開始されます。
1.Off
手動で撮影します。
2.Horizontal Distance Interval(水平距離間隔)
前後の方向にキャプチャー距離で設定した距離[㎝]を移動するたびに画像が撮影されます。
3.Vertical Distance Interval(垂直距離間隔)
上下の方向にキャプチャー距離で設定した距離[㎝]を移動するたびに画像が撮影されます。
4.3D Distance Interval(3D 距離間隔)
上記2と3の両方が同時に適用されます。
5.Time Interval(時間間隔)
時間間隔[s]で設定した間隔に従って撮影されます。
6.LRF Trigger(レーザー距離計トリガー)
レーザーを横切る物体がフォーカス制限内(AF設定のAF最小距離とAF最大距離)にあると、LRFトリガーキャプチャカウントで指定された回数だけ撮影されます。このモードが有効な場合、キャプチャーカウントの進行状況は、フォーカスポイントを中心とした円形で表示されます。また、フォーカスリミット制御は自動的にゲートディスタンスに設定されます。
7.Corrected LRF Trigger(レーザー距離計補正トリガー)
レーザーをフォーカス制限内(AF設定のAF最小距離とAF最大距離)で2回横切った物体は、LRFトリガーキャプチャカウントで指定された回数だけ予測的に撮影がされます。このモードが有効な場合、フォーカスポイントの周りの円は、キャプチャカウントの進行状況を示します。また、緑色の円は、キャプチャがスケジュールされていることを示します。
レーザー距離計と連動し、自動でフォーカスの合ったシャープな画像が撮影できるスマートフォーカス機能があります。風力タービンや送電塔のような複雑で大量の建造物を検査するために開発されました。フォーカスブラケッティングとフォーカスリミットコントロールの2種類があります。
設定が多くどこを設定すればいいかわからない方に向けて、ベーシック・スタンダード・アドバンスの3種類の設定表示モードが選択できます。プロポのパラメーターモードから変更することが可能です。変更した際はその都度、再起動を行いましょう。
ベーシックモード:カメラは常にデフォルト設定のオート露出に設定されます。ほとんどの他の機能は非表示になります。簡単な撮影アプリケーションに最適です。
スタンダードモード:すべての通常機能がユーザーに利用可能です。オート露出とマニュアル露出を切り替えることができ、オートキャプチャモードも使用可能です。
アドバンスモード:通常使用されない機能が公開されます。これには、特定のアプリケーション用のパラメータ、開発者向けオプション、または安全性のオーバーライドが含まれます。これらのパラメータは、Phase Oneテクニカルサポートからアドバイスがある場合にのみ使用してください。
「iXM-100」「iXM-GS120」には点検や測量向けのレンズがあり、それぞれの用途に合わせて取り換えることでより精度を高く使用することができます。
レンズの交換方法については以下のリンクよりご覧ください。
商品Q&A:Phase OneのiXM100カメラで、レンズはどのように取り換えすればよいでしょうか。
飛行して撮影開始
Phase OneはDJI Pilot2との親和性があるため、専用のアプリケーション等をインストールしていただく必要はなく、セッティングが完了したらすぐ飛行を開始できます。
Phase Oneのジンバルカメラは大きく重たいため、ゆっくり上昇しようとすると前のめりになってしまい倒れてしまうことがあります。離陸する際は思い切り舵をきって上昇をしましょう。
星槎高尾ホールを「iXM-100」と「iXM-GS120」の2種類のカメラを使って10m、20m、30m、50mの距離から外壁の撮影を行いました。
※下記の写真は圧縮されております。高画質データは以下のリンクより閲覧できます。(該当写真①~⑧)
https://drive.google.com/drive/folders/1fwsbTJI18YJIKmu-UmK3bYgOrVqknJsZ
また「iXM-100」と「iXM-GS120」にはレーザー距離計が付いており、リアルタイムでドローンから壁の距離が分かります。飛行を行いながらも正確に距離を把握し撮影ができていました。
以下のようにレーザー距離計の数値がリアルタイムで表示されます。
送信機での見え方
Phase Oneのペイロードを搭載している時は操縦画面の左側に情報が表示されます。ここに現在設定されているISO値やシャッタースピードなどの情報が確認できます。
撮影を行うとプレビューが表示されます。撮影後にプロポのアルバムからは撮影した写真を確認することができないため、このプレビューで写真を確認します。
※左側の写真が情報、右側の写真がプレビューとなります。
設定画面では搭載しているカメラのペイロード設定を変更することができます。ここでISO値やシャッタースピード、先程説明したパラメーターモードも変更することができます。
今回は本体に付帯している送信機1台のみで飛行を行いましたが、もう1台「DJI RC Plus」をご用意いただくと、「A送信機」を操縦用として、「B送信機」をモニター用としても使用可能です。
送信機を2台使えば、それぞれで機能や担当を分けることができるので、わざわざ有線モニターを別で用意する手間も省けて、簡単に現場の皆様が状況把握できるようになります。
「Capture One for Phase One」での編集
撮影した画像はPhase Oneカメラ専用の写真編集ソフトウェア「Capture One for Phase One」で閲覧・編集・JPEG化等ができます。こちらは商品を購入時に付属されており、10PCまで同アカウントで使用可能でPhase Oneカメラで撮った写真なら永久的に最新版ソフトが使用可能になっています。
「iXM-GS120」の150㎜レンズを使って10mと30mの距離から星槎高尾ホールを撮影したデータを比較しました。外壁のタイルに付着しているテープの跡をズームして並べて比較ができます。
別校舎を「iXM-GS120」を使って30mの距離から撮影しましたが、全体的に暗い写真になってしまいました。しかし、「Capture One for Phase One」を使うことで画像の質を落とさず明るさを補正することができますので、後日撮り直すという作業がなくなりますので、効率がとても上がります。
画像内、左が補正前・右が補正後です。ラージフォーマットセンサーのハイダイナミックレンジのおかげで、補正して自然な明るさまで持ち上げられます。どのように撮っても後処理でリカバリーできるのは非常に良いポイントです。
新商品「iXM-GS120」の紹介
弊社では今回ご紹介した「iXM-GS120」も新しく取り扱いを始めました。
商品ページ:https://www.system5.jp/collections/phase-one/products/n_1195562
※iXM-GS120をDJI Matrice 300/350 RTKでお使いの際は、上記のカメラジンバルキットの他に、専用レンズとCFexpressカード・リーダーを別でご購入していただく必要がございます。
※サポートパッケージはプラチナ・ゴールド・シルバーの3種類あります。
「iXM-GS120」はDJI Matrice300/350用の1.2憶画素カメラです。画質が「iXM-100」の1億画素よりも良くなっているため、より離れた距離からの撮影、広い範囲の撮影が可能になります。
またiXM-GS120で新開発の1/ 16000秒のグローバルシャッター搭載で、風力発電機ブレード点検などで運転停止する回数を削減し、コスト削減に大きく寄与します。
写真のように30m離れた場所から撮影した写真でも、蜘蛛のような小さなものまで拡大してはっきりと確認することができました。
※下記の写真は圧縮されております。高画質データは以下のリンクより閲覧できます。(該当写真⑨)
https://drive.google.com/drive/folders/1fwsbTJI18YJIKmu-UmK3bYgOrVqknJsZ
また、下記写真のクラックスケールを各距離から撮影しそれぞれのレンズサイズでの見え方を比較しました。かなり小さなクラックスケールを使いましたが、10mの距離だと数字なども把握することが出来ました。またどの距離でも線についてはうっすらとですが確認が出来ました。
※下記の写真は圧縮されております。高画質データは以下のリンクより閲覧できます。(該当写真⑩~⑮)
https://drive.google.com/drive/folders/1fwsbTJI18YJIKmu-UmK3bYgOrVqknJsZ
下記画像はiXM-100の80mmレンズで10m離した時の画像ですが、石が置いてある場所をPCでズームすると質感などもしっかりと表現されていることが分かりました。一枚で完結することが出来る解像度カメラの良さだと思われます。
Phase One製品を使用したドローン点検のプロの声
(株式会社ドローン・フロンティア 小林様)
Q:Phase One製品で撮れたデータをみてどう思いましたか
A:非常に高解像度で撮影されており、普段は確認できないような細部まで見ることができて、とても良いと感じました。RAWデータで撮影されているため、「Capture One for Phase One」を使って画像の補正(明るさやコントラスト、陰影部分の調整など)ができ、見やすく調整できる点も魅力的です。特に、点検作業において非常に有用だと感じました。
Q:今日撮影したデータをどのように活用できそうですか
A:普段はサーマルカメラを使った点検が中心ですが、可視光カメラのみで行う点検も多くあります。これまで「DJI Zenmuse H20T」や「DJI Zenmuse H30T」を使用していましたが、Phase One製品を使うことでも取得データの品質が大幅に向上することを実感しました。
例えば、クラックを発見する際にオルソ画像を作らずに一枚の画像で高解像度のデータを取得したい現場や、ズームや接近で解析の際に位置関係が分かりにくくなる現場では、Phase Oneの3種類のレンズを活用して目的に合わせた調整が可能で、幅広い作業に活用できると感じました。
Q:これまでの点検業務の方法よりPhase One製品のカメラを使った方が業務効率を上げられそうですか
A:可視光カメラを使った点検では、非常に効率的だと感じました。これほどの機能を持つカメラをこれまで知らなかったため、「この機能があればもっとスムーズに作業できた」と思う現場も多くありました。コストはかかりますが、それに見合う価値があり、高解像度の撮影だけでなく、その解像度を活かした機能も非常に魅力的です。
Q:どのようなお客様に勧めた方が良いと思いますか
A:例えば、プラント関連の施設や広大な敷地を管理する企業、稼働を止めずに定期的な点検が必要な発電施設や工場、煙突施設などが挙げられます。特に稼働を止めることが難しい施設では、通常のカメラよりもPhase One製品を使った稼働しながらの点検がコストパフォーマンスに優れており、おすすめできます。
今回ご協力を頂いた株式会社ドローン・フロンティア様について
株式会社ドローン・フロンティア(https://www.drone-frontier.co.jp/)は東京都荒川区に本社を置く、ドローンによる建物点検や空撮サービスを行っている会社です。建築・建設業でのドローンの活用を得意としており、特に赤外線カメラ搭載型ドローンを使用した外壁調査サービスに力を入れています。社内にドローンの操縦士と赤外線解析員が在籍しており、社内で内製化されたドローン点検を行っています。
またマンション・オフィスビルといった物件では赤外線法による調査が適さない物件も多くあることから、ドローン・フロンティアではロープアクセスによる打診調査も対応できる体制を整えており、物件に応じて最適な「無足場フルアクセスパッケージ」となるサービスを提供しています。今回の大阪の案件においても別日にロープアクセスによる打診調査を実施しました。
その他にはドローン・フロンティアが蓄積した現場のノウハウを学べる専門コースをもったドローンスクール「UAS技能教習所」やドローン導入コンサルティング、戸建て屋根の寸法・面積積算アプリ「屋根はかる君」のサービス展開をしております。
「もう少し商品について知りたい!」
「自分の業務にもドローンを活用できる?」
Phase One商品をお探しの方は、Phase One産業機カメラ正規販売代理店のSYSTEM5までご連絡ください。
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